20071129設定
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目の前の女が自分を覚えているかと笑うのが腹立たしくてたまらないのである。なぜなら、この女は私をこの境遇に落とし、墜とし、堕とした女であるからだ。
覚えているに決まっているであろう。
私は怒りで目の前が真っ赤になったと思ったが、実は実際に真っ赤であった。周囲が炎で包まれていたからである。自分の指先から焔がちろちろと見える。体から炎が噴出している。夜を昼の明るさに変え、周囲が燃え、焼かれ、やがて失われていくのであろう。あの女も失われれば良いのである。
女が笑った。クツクツ、くすりくすり、けらけらけら。
女の静かな笑いは少しずつ激しくなっていき、最後には大声で笑う。いつも、そう、笑う。
炎に巻かれて、皮膚が焼けただれて死んでしまえばいい。
そう思えば、炎は女に向かって疾風のごとくその牙を剥いた。まるで意思ある生き物のように火がたくさんの火が、それを炎と言うのだが、女を包む。熱風と共に女が翻弄される。
はずである。
はずであった。
が、女が少しだけため息のように息をつくと、何も無かったように火が消えた。
女が嘲笑する。嘲った口元に、憐憫の情が見える瞳。
バカにして、馬鹿にして、莫迦にして!
その貌は絶対にこれからも忘れない、心に刻み込んで、忘れない。
覚える?それどころじゃない、忘れない、絶対忘れない、否、忘れていない。
炎々とした火を纏い、私は女に飛び掛る。襲う、その喉、手が届いて、絞める、否、折る、否、そのまま掻っ切る、突き殺す、
何でもいいので殺したかったので、炎熱の手を女の首にかけ、力を込めながら押し倒す。全体重をかけて、首を絞めた。女は最初は抵抗するそぶりが無かったものの、苦しくなってきたのかこちらの腕をなんとかしようともがく、引っかく、爪を立てる。
そんなことはどうでもよく、死んでしまえと叫びながら首を絞めると、空気を求めるような出るような鳴き声のような音が聞こえ、女の動きが止まった。瞳孔が開き、口角に泡が見えていた。
ざまあみろ、と笑いがこみ上げ、くつくつと笑うと、死んだ女が腕をつかんできて一緒にくつくつと笑った。
私の体が、四方八方から貫かれる、鋭角なそれは女が生み出した何かであるが、私にはわからず、ただ、怒りがさらに私の心を侵食し、身を包む炎はさらに燃え盛る。
「私も妹紅も死にはしないの、覚えてる?ねえ、妹紅はいつから白い髪に紅い目だったのかしら、覚えてる?その炎をどうしたら制御できるか教えたけど覚えてる?ねえ、この前もそうやって貫かれて、まるで火箸でつっつかれた炭のようだったこと、覚えてる?」
戯言を謳う様に笑うように演じるようにつむぎ続ける輝夜の足をせめて燃やしてやろうと這いずり回りながら手を伸ばすが、よけられた上に腕を踏まれ、そのまま踏み折られる。そんな細い足で、ありえないのに、ありえないのに!
「化け物!」
私が叫ぶと、輝夜は少し呆れたような、苦笑いのような微笑をうかべ、しゃがみ、倒れているこちらの頭を撫でた。
「妹紅も人間じゃないじゃない。化け物同士、ずっとずっと、ずっとずぅっと、月がなくなっても、この場所がなくなっても、空がなくなっても、ずっと仲良くしましょうね。私たちは友達なんだから」
ぼんやりと私は輝夜を見る。怒りとむなしさとよくわからない悲しみが同時にやってきて、泣きそうだ、と思わずつぶやく。
「妹紅は最初から泣いてるじゃないの、今さらだわ」
夜のしじまに、撫でてくる輝夜の手が焼ける匂いがしていた。
イラスト苦手なんだけど、もこたんは痛いネタしか思い浮かばないのでマンガ断念。SSでごまかす。ぐやもこ。
もこたんのどうしようもない八つ当たり的輝夜恨み節が大好き。どう考えても自業自得なのにな!(…)
状況描写や場所指定描写を完全に排除すると、本当にノリだけ文章になりますね。
輝夜がハイテンション笑いっぱなしです。おしとやかな輝夜を求めている人には違和感があるでしょうが、まあ、許してやってください。どうも、こんなイメージで固まりました。おしとやかだけどハイテンション。
拍手、ありがとうございます!励みになります。
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