忍者ブログ
20071129設定
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

myon.jpg桜の下には。

 桜の下には死体が埋まっているという。
 それを確かめたいと佳人が言う。

「ねえ、妖夢。春を集めて欲しいの」
 冬も終わりに近づいたころ、気まぐれでお天気屋で何を考えているのかわからない妖夢の主人はぽやんとした声音で言った。
「春、ですか」
 正確に言うと、春度というものだった。めぐり行く春夏秋冬のその気配。春ともなれば、世界は春という色に染まる。その、染まる前に春を奪ってこいというのだ。その、気、といってよいだろうか。
 できないことではない。春の気配を探し出し、妖夢の手の中に小さくまとめて冥界に持ってこればいいだけだ。それは難しいことではない。が。その後の混乱は大変だろう。なんといっても、世界から春が無くなるのだ。全てが雪に閉ざされたまま、芽吹くはずだったすべてはそのまま眠りから覚めず、花は咲かず、凍えた世界の中で生き物は震え、死んでしまうかもしれない。それを指摘すると、主人が冷めた目で妖夢を見てきた。
「そんなこと、私の知ったことではないわ、妖夢。大切なのは世界中の春を集めることなの」
 主人は、自分以外どうでもいい人であった。そして妖夢は主人以外はどうでもいい存在であった。
「そうすれば、ほら、この桜が芽吹いて花を咲かせるのよ」
 主人が一本の桜を指差した。毎年毎年、満開の桜の中で立ち枯れたように沈黙を保つその大きな桜は、妖夢も知っている。西行妖と言う。
『あの、桜の下には』
 祖父が何かを言っていたような気がしたが、思い出せない。妖夢は幼すぎて、祖父の言っていた何かのほとんどは、水面に映った景色よりも儚く確かではない。
「あの桜が満開になれば、桜の下の誰かさんが起き上がるの。私と同じ、死んでいるのですって。死んでいるのに、形があるなんて素敵よね。誰かさんが起きてきたら、私と妖夢とその誰かさんと一緒に仲良く住みましょうね。誰かさんが妖夢より年下ならば、妖夢はお姉さんになるんだから優しくしてあげてね。年上なら、妖夢は妹になるわね」
 妖夢が何かを思い出そうとする前に、主人が、ふわふわと浮かびながら、浮かれた口調で一気に言った。常に小春日和のようにのんびりした主人らしくなく興奮しているが、声音は常の主人らしく小春日和のようにのんびりしている。
 妖夢は常々、自分の幼さが主人の不興を買っているのではないかという怯えを抱いていたため、自分より年上ならいいと思った。妖夢を相手に何かを話す主人は何度かに一度、つまらなさそうなため息をつく。そのたびに、妖夢は消えていなくなりたくなる。なぜ、自分はこんなに未熟なのか。主人の言う言葉が時々わからなくなるほどの幼さがにくく、自分を研磨しようとするが、妖夢はどうすれば研磨できるのかわからないほど、まだ幼い。
 仕方がないので、いつも仕事を一生懸命にする。庭を必死に整えるのが自分の仕事だが、他にもあったような気がする。
『あの、桜の下には、……だから、お前は……』
 祖父の言葉が時折かすめるが、妖夢はわからない。今になって思えば祖父は妖夢が幼かったことに気づいていなかったのではないかと思う。様々なことを教示し、言い残していたが、妖夢が理解できたことはほとんど無かった。
「ねえ、あの桜の下には誰がいるのかしらね」
 主人が、今までに無く幸せそうだった。
 妖夢は、桜が咲く季節になれば主人がうれしそうにする反面、うんざりした顔をしていたのを知っている。西行妖がみっともない、とぶつぶつ言うことをよく知っている。実のところ、満開の桜の中に、薄みっともなく花をつけない西行妖があるのは、妖夢は嫌ではない。そこにはある種の無常観があり、完璧でないからこその味わいがある。庭師としての妖夢は、そのアンバランスを愛しいとも思っていた。もし、これが満開になってしまえば、その風景はありきたりになってしまうだろう。
 最も古い大樹が、花を咲かせない桜の園。
 それは、何か深い暗示的な絵画のようで、春になると妖夢は時折、仕事を忘れてうっとりとしていた。そして、そんな自分を嫌悪する。
 主人が嫌悪しているものに愛しさを感じるなんて、なんてなんて、自分は至らないのだろうか。
 そんな主人が、幸せそうに西行妖を見る。今までに無く、幸せそうに。
 ああ。自分は、この顔を守りたい、と思った。それこそが自分の使命なのだろうと思う。祖父も、そう言っていたような気がした。
『あの、桜の下には』
 桜の下には、主人の幸せが詰まっているということですね、おじい様。
 妖夢は、まさに満開の桜のように微笑む幽々子を、まぶしそうに見つめた。宝物を眺める目つきで、見つめ続けた。

 妖夢は、美しい主人のために必死に春を集めた。そんな妖夢を騒霊たちは興味深そうに眺め、楽しそうであったが、手伝いもしない。あれらが役に立ったことがあったであろうかと妖夢は呆れるが、その音曲を楽しむ幽々子を考えれば怒鳴ることも出来なかった。
 地上は冬に閉じ込められる。冬のあやかしたちは幸せそうに踊ったり笑ったりしており、まあ、こんな世界も良いかもしれないと妖夢は思った。
 正直、妖夢は幽々子が幸せならどうでも良かった。
 美しく、麗しく、身勝手で愛しい主人が幸せそうに微笑んでくれればそれでよかった。全てが雪に覆われようと、西行妖の封印が解けようと、その下の誰かが起きようと、その全てが幽々子の幸せにつながるのなら、妖夢はその命を投げ出すのも惜しまない。
 そうして、冥界に春が満ち、西行妖が今までに見せたことの無い命の証を見せ、幽々子の微笑みはますます輝く。ああ、あと少しで、幽々子の願いは達せられ、妖夢は幽々子の思いに答えられるのだ。
 今まで、答えられなかった全てが、ここで帳消しされるような錯覚を覚え、妖夢はさらに精力的に春を集めた。
 しかし、自然の摂理に逆らうそれは、やはり反動というものがあるらしい。
 放置していた冥界の結界の崩れから、人間たちがやってきて、妖夢をこてんぱんにのしていった。何度立ちふさがっても、ごみ屑のようにくしゃくしゃにされ、結局は幽々子を守ることは出来なかった。
 あの、桜の下には、なにもなかったのといっしょになった。
 呆然とし、ともすれば絶望と自嘲との感情に支配され、今までに見たことの無いような乾いた笑いを浮かべる幽々子を妖夢はさらに呆然と眺める。
 箱庭の中の、狭い小さな幸せの世界を土足で踏み荒らされた、とも思い、しかしその箱庭を最初に壊したのは自分であった。幽々子の願いのために箱庭を最初に飛び出したのは妖夢だった。
 幽々子の願いを思いを、その切なる祈りを実現できなかった自分はとても幼く、いたらなく、未熟で、みっともない。どうすれば幽々子に笑顔を取り戻せるのかわからず、必死に考えるが、頭が白かった。それでも、何か言わないといけない気がした。
 幽々子が求めていたのが、満開の桜なのか、桜の下の誰かなのか、なぜ求めたのか、なぜこんなにしょぼくれているのか、妖夢はわからない。わからないながらも、子供心に寂しいのか、と思う。なぜ寂しいのかはわからないが、寂しそう、と思ったので、それでいいような気がした。
 寂しいのなら、たくさんの人の場所へ行けばいい。冥界で足りないなら、もっと広い場所に行けばよい。冥界という箱庭以外を妖夢は知ってしまっている。
「幽々子様。地上の花見、なんてどうでしょうか」
 妖夢の言葉に、主人が驚いた顔をした。何でも知っていると思った幽々子が初めて小さな少女に見えた。そうだ、幽々子は主人であったが、少女でもあるのだ。
「ああ、あの赤白巫女が神社の裏の桜で花見宴会だとか何とか言っていたわね」
 幽々子が一人ごちる。
「はい。地上は、遅い春のためか、今、まさに春爛漫です。桜が美しいですよ、きっと」
 妖夢は必死に言う。幽々子のひそまれた眉をなんとかしたかった。下を向いた顔をなんとかしたかった。憂いに帯びた目をなんとかしたかった。それだけで。地上の桜が美しいかどうかなんて、本当はどうでもいい。
「それは、とても楽しそうね。お友達、できればいいのだけど」
「巫女も黒白も、きっと暇ですから、楽しく遊べると思うんです…」
 最後には消え入りそうな声音で妖夢は必死に言った。自分で何を言っているのだろう、と思う。巫女も黒白も、あの犬みたいな性格のメイドも、幽々子の邪魔をしたいやなやつで、本当なら死んでしまえとか思っている。でも、あいつらを消してしまっても、もう春は帰ってこない。
「あらじゃあ、花見団子作っていかないといけないわね。妖夢、お願いね」
 幽々子はすっかり機嫌がよくなったのか、くすくすと笑い、最後には楽しそうにくるくると舞い踊る。軽やかな動きに嘘は無く、妖夢は初めてほっとした。幽々子の笑顔こそが妖夢の全てなのかもしれなかった。
「楽しみね、とても楽しみね」
 ふわふわと歩く幽々子の後ろについて、妖夢も歩き出す。花見団子はいくつ作ればいいかなあ、と思いながら歩いた。主人さえ幸せならば、妖夢は幸せだった。

 桜の下には何かが埋まっているという。
 そんなことを子供のころに聞いたような気がしたがそれは特に幸せと関係ない話である。

**********************

例大祭で無料配布した話の妖夢バージョン。あと、紫バージョンも書きたい。
東方はSSがあまり好かれていないのかな?というくらい、SSが少ないんですけど、私自身はSSや小説が好きなので、増えて欲しいかなーとか思います。

ところで、妖夢を書くと、結構おもしろいことがわかりました。
この人、幽々子以外、どうでもいいんか、と咲夜と違う意味で主人一筋だと思うと、怖いわ!視野がすごく狭そうですね。マジ狭かったらすごく好きかも知れません。視野狭窄の子供って好きなんです、モチーフとして。

PR
scarlet.pngお姉さま、大好き。
いつも守ってくれてありがとう。
ずっと守ってくれてありがとう。
日の当たらない、空も見えない、風も感じない、深い深い冷たい冷たい地の底で、守られてきたあたしは大切にされてきたことをひしひしと感じています。
貰ったおもちゃをいつも壊してしまってごめんなさい。
壊したいわけじゃないのに、どうして壊れるのかしら。
あたしといつも一緒に居て、壊れないのはお姉さまだけ。
お姉さまがいなければ、あたしは一人ぼっち。
お姉さまがいなければ、この冷たい深い息が詰まるような地の底で守られることもなく一人ぼっち。
世界中を壊してしまって一人ぼっち。
そうならなかったのは、お姉さまのおかげね。
だから、あたしは大きくなったらお姉さまを守ろうと思っていたの。
あたしなんかより、弱いけど、壊れたおもちゃのように脆くもないお姉さま。
大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き。
がんじがらめにして、壊れないように守ってあげるから、安心してね。
永遠に大切に、壊れないように、壊さないように、守ってあげるから、
この深い深い冷たい冷たい何も無いこの場所で、守るから。


フラン×レミリア。
せっかく大人にしたのに、胸やら尻やら隠れて意味が無い。
最近レミリア好きすぎて困ってしまうよ。でもなんでか、お嬢様が酷い目に合うよ!楽しいなあ(病気)

ついで。クーリエ様に投下したもの。
toho_004428.png上のものと対になってます。

フランが気がおかしくて力が制御できないので、地下室に閉じ込めているというあたりに、レミリア様の人でなしっぷりと優しさと臆病さを感じてたまらなく萌える。
お嬢様は永遠に幼い紅い月がいいんですが、妹様がお嬢様より上位に来るものを描きたくてあえて育てました。フラレミは容赦の無い愛情イメージです。お互い、容赦無い。相手を思いやるという能力に欠けている二人(笑)

sumizome.jpgひとつ、いいわけをさせてください。
私は決して、彼女を見捨てたわけではないのです。この忌々しい巨木の元で眠る彼女を望んでいたわけではないのです。
彼女ではない彼女とのこの幸せな日々を望んだがために彼女の存在がなくなっても良いなどと思ったことなど無いのです。
ただ、彼女の望みをかなえたいと思っていただけなのです。
ゆえに、だから。
この忌々しい巨木に再びの生を、再びの息吹を、再びの絢爛なる春を見出したいと笑う彼女の望みをかなえるべきだと思いました。
この忌々しい巨木に捕らえ、囚われた魂を見たいと無邪気に笑う彼女に、楽しみね、と笑い返すしかできない私を誰が責められましょうか(いや、誰もできないでしょう)。
彼女が彼女を見たいと言う、笑う、微笑む、ああ、なんと無邪気無邪気。
その行為に何の意味があるのか。
自己を形成するものを暴きだすその行為こそ、彼女の矛盾、ああ、なんと無知で無邪気。
しかし、彼女が望むのなら、それが彼女の崩壊を呼ぶものだとしても私は止めることなどできないのです。
私は彼女を見捨てたわけではないのです。
彼女の崩壊がわかっていてさえ、なおも、彼女の笑顔が見たいのです。
私は彼女を見捨てたわけではないのです。
彼女が永遠にこの忌々しい巨木の底で眠り続けるのがわかっていてさえ、なおも、彼女の笑顔が見たいのです。
この、無知蒙昧で無邪気で無神経な彼女をただ、甘やかすことしか私にはできないのです。
原初の
全てを
何もかもが
手に取るようにわかる、この私ができることといったら、非生産的な甘やかしというばかばかしさはわかっていただけるでしょうか?
それこそが彼女の望みなのだと、そう思って私は灰色の桜が落ちるこの世界にたたずんでいるのです。
桜は、何色だったでしょうか。
私には長い間、墨の色の桜しか見ていません。
あの、忌々しい巨木が満開になれば違う色になるのかもしれません。それは彼女の崩壊と世界の崩壊の双方を意味しているのかもしれません。

ああ、それでも、この世界の崩壊の瞬間でさえ、彼女が満足げに笑ってくれさえすれば、愚かな私は幸せなのでしょう。

****************************************************
アンニュイ紫サマ。ゆかゆゆはゆかりんだけが、取り戻せない過去を知っているという辺りがツボです。ゆゆさまの悲劇その他を知っていて、黙って友人やってんだぜ。うっわあああああああ。萌える。

原稿が真っ白でどうしていいかわかりません、先生。

部屋の片付けはなんとかできた!
前ジャンルの本を全て押し入れへ箱詰め完了>5箱。5箱って…太い本が多いので、量はたいしたものじゃ…ないと思う。ようやく、床に転がっていた本を本棚に入れて掃除して完了。
自分で不思議なのだが、別にジャンルでもなんでもないのに日本書紀、続日本紀、古事記があるって自分は何をしたいのか。(たぶん、購入時にブームだったのだろう…)。文庫版なので、場所をとらないのだが…。
こーゆー売るに売れない(需要的な意味で)本が大量です。

大量の本の中に趣味の平安年表があるので、ゆゆさま死亡時を計算しやすいです…が、どう考えても西行んときと計算あわねー。
ていうか、幻想郷の詩聖なんだから、西行にしなくてもいいじゃないか(-_-
いつから千年前という細かいところはおいておいて、まあ、ちょうど摂関政治花盛り+怪異事件花盛り時期です。めっさあるよ!こんなくだらんことを書いて残す平安人は暇か!なくらい(暇なんだろうよ…)
色々、妄想しちゃうですね。
牛車に乗るゆゆさまとか萌えですね。
牛車といえば、2人くらい平気で乗れますね。カーセックスですね!(爆)
和泉式部日記でカーセックスシーンがあったから、そのくらいの広さはあるはずだ!
ゆかゆゆでカーセックスしたいね!まだ亡霊姫じゃないゆゆさまはきっと、初々しいと思うのです。
「あ。だめ、こんなところで…!」
「赤い垂れ布を垂らしておけば誰も除かないわよ」
「そ、そんなあからさまな!(赤い垂れ布=生理中、だが、外でやったらそりゃ「いたし中」の意味にとられますって、やっぱり浮かれ女の和泉式部が白昼堂々やってた…)」
パラレルのノリで楽しいですね!十二単のゆかりんとゆゆさまっていいですね!
でも、ゆゆさまは墨染め衣でも萌えますが!!

自分、何の本出すのか、いっぺん出直してきたほうがいいよ
(※軽めのオールキャラ+少しゆかゆゆ風味くらいです…)

moko.jpg

目の前の女が自分を覚えているかと笑うのが腹立たしくてたまらないのである。なぜなら、この女は私をこの境遇に落とし、墜とし、堕とした女であるからだ。
覚えているに決まっているであろう。
私は怒りで目の前が真っ赤になったと思ったが、実は実際に真っ赤であった。周囲が炎で包まれていたからである。自分の指先から焔がちろちろと見える。体から炎が噴出している。夜を昼の明るさに変え、周囲が燃え、焼かれ、やがて失われていくのであろう。あの女も失われれば良いのである。
   ああ、いつ見てもおもしろい芸当だこと
女が笑った。クツクツ、くすりくすり、けらけらけら。
女の静かな笑いは少しずつ激しくなっていき、最後には大声で笑う。いつも、そう、笑う。
炎に巻かれて、皮膚が焼けただれて死んでしまえばいい。
そう思えば、炎は女に向かって疾風のごとくその牙を剥いた。まるで意思ある生き物のように火がたくさんの火が、それを炎と言うのだが、女を包む。熱風と共に女が翻弄される。
はずである。
はずであった。
が、女が少しだけため息のように息をつくと、何も無かったように火が消えた。
   まだまだ、制御できていないのねえ。せっかく、……なのに。
女が嘲笑する。嘲った口元に、憐憫の情が見える瞳。
バカにして、馬鹿にして、莫迦にして!
その貌は絶対にこれからも忘れない、心に刻み込んで、忘れない。
   私を覚えている?
覚える?それどころじゃない、忘れない、絶対忘れない、否、忘れていない。
炎々とした火を纏い、私は女に飛び掛る。襲う、その喉、手が届いて、絞める、否、折る、否、そのまま掻っ切る、突き殺す、
何でもいいので殺したかったので、炎熱の手を女の首にかけ、力を込めながら押し倒す。全体重をかけて、首を絞めた。女は最初は抵抗するそぶりが無かったものの、苦しくなってきたのかこちらの腕をなんとかしようともがく、引っかく、爪を立てる。
そんなことはどうでもよく、死んでしまえと叫びながら首を絞めると、空気を求めるような出るような鳴き声のような音が聞こえ、女の動きが止まった。瞳孔が開き、口角に泡が見えていた。
ざまあみろ、と笑いがこみ上げ、くつくつと笑うと、死んだ女が腕をつかんできて一緒にくつくつと笑った。
   忘れているの?私は、死なないのよ。
私の体が、四方八方から貫かれる、鋭角なそれは女が生み出した何かであるが、私にはわからず、ただ、怒りがさらに私の心を侵食し、身を包む炎はさらに燃え盛る。

「私も妹紅も死にはしないの、覚えてる?ねえ、妹紅はいつから白い髪に紅い目だったのかしら、覚えてる?その炎をどうしたら制御できるか教えたけど覚えてる?ねえ、この前もそうやって貫かれて、まるで火箸でつっつかれた炭のようだったこと、覚えてる?」
戯言を謳う様に笑うように演じるようにつむぎ続ける輝夜の足をせめて燃やしてやろうと這いずり回りながら手を伸ばすが、よけられた上に腕を踏まれ、そのまま踏み折られる。そんな細い足で、ありえないのに、ありえないのに!
「化け物!」
私が叫ぶと、輝夜は少し呆れたような、苦笑いのような微笑をうかべ、しゃがみ、倒れているこちらの頭を撫でた。
「妹紅も人間じゃないじゃない。化け物同士、ずっとずっと、ずっとずぅっと、月がなくなっても、この場所がなくなっても、空がなくなっても、ずっと仲良くしましょうね。私たちは友達なんだから」
ぼんやりと私は輝夜を見る。怒りとむなしさとよくわからない悲しみが同時にやってきて、泣きそうだ、と思わずつぶやく。
「妹紅は最初から泣いてるじゃないの、今さらだわ」
夜のしじまに、撫でてくる輝夜の手が焼ける匂いがしていた。



イラスト苦手なんだけど、もこたんは痛いネタしか思い浮かばないのでマンガ断念。SSでごまかす。ぐやもこ。
もこたんのどうしようもない八つ当たり的輝夜恨み節が大好き。どう考えても自業自得なのにな!(…)
状況描写や場所指定描写を完全に排除すると、本当にノリだけ文章になりますね。
輝夜がハイテンション笑いっぱなしです。おしとやかな輝夜を求めている人には違和感があるでしょうが、まあ、許してやってください。どうも、こんなイメージで固まりました。おしとやかだけどハイテンション。

拍手、ありがとうございます!励みになります。
はにわはに丸
同人誌とか作ってます。
効果アシになりたい…。
Powered by NINJA TOOLS
忍者ブログ [PR]